光る君へ7

「おかしきことこそ」

大丈夫大丈夫、道綱道綱わらったw 悪夢に飛び起き「こわいよお」と道綱母にすがる右大臣様。「大丈夫でございますよ、まことに大丈夫でございます」宥めながら側妻は、我が子である道綱の名を耳元に吹き込む。巧みなサブリミナルである。訝しむ右大臣様を畳み掛け「道綱のことお願いしますよ?」との念押しを忘れない。才女はただでは起きないのである。

場面は変わって屋敷で鞠のソロ練をする藤原実資。内裏人事の不満をくどくど漏らすので、それを鬱陶しがった妻が「日記に書きなさいよ」と一蹴する。このシーンもめちゃくちゃ笑った。これが本当に小右記の始まりなのかは定かでないが、そうであったら楽しいなあ。おかしきことこそめでたけれ。

そしてお待ちかね打毬の会。お勉強会でお手紙を回し読みした姫様たちは大はしゃぎ。お招きがあったことをみなさん自負しています。さらに自尊心の権化、清原元輔の娘ききょうが「斉信(ただのぶ)様からぜひにとお招きを受けまして」と鼻高々です。「あら斉信様はずっと我らが倫子様へ熱心にアプローチしておいででしたのよ?」とでも言いたげなグループの含み笑い。察知した赤染衛門が場をとりなすかのように、ききょうの聞こえを褒め称える。創話だとしてもこの小さな仮屋に、後の清小納言と後の紫式部赤染衛門が揃い踏みするんだ。胸熱だ。これは何かあるのかと思ったがとくに何も無かった。とくに何も起こらないのになぜだか魅せられる作品こそ芸である。

いよいよ選手入場。思い直して会場に向かったまひろは道長様のお姿をみとめ、続く直秀に怪訝な顔を向ける。なんであんたいんのよ。パドックを入場行進する道長様がまひろに気づく。最近見つかった弟もとい直秀もまひろに気づく。三者三様の思いを胸にプレイが始まる。けっこう尺長めのプレイ動画が流れていく。目を逸らしていたまひろもいつしか応援体制だ。満面の笑顔である。結果、清々しい大勝利。ここで終われば最高のお貴族様青春映画だった。

勝ち試合に心ほぐれ、男どもの口が滑り、まさに男子部部室、ロッカールームである。でしゃばりな女。あれは地味でつまらん。あれはないな。今日見たらもったりしていて好みではなかったわ。女ってのは邪魔にならないのがいいんだぞ。あれは身分が低いからダメだけど。まあききょうも遊び相手としてしか考えてないけどな。もう最低。

賢明な道長様は会話に関わらずも、まひろを反芻してたのかぼんやりして「ん?」と生返事しちゃった。まひろが身を潜めて聞いているのにすれ違いもいいところだ。道長様は斉信に左大臣一の姫へアプローチを頑張ってもらいたい。それで話を振ったら余計な愛人トークに火がついた。藪蛇だ。そして公任のつっこみ「人妻だろ」に笑った。遊んでやるつもりが遊ばれていたのはおれだったのかと斉信の愕然とした表情に胸がすく。女を品定めする時女たちもまた男を品評しているのだ。人妻なのに若き公達に想われた私の武勇伝として永遠に語り継がれてしまうのだろう。相手が一枚上手でしたね斉信様。このゲストークの間も貴公子たちが汗と雨を拭き拭き肉体美をお披露目しており、突然のサービスカットなのかどうなのか。品評されているのは一体どちらだ、というじつに哲学的な問いである。

 

その他メモ

・超えてはならない神社の垣根を踏み越えてしまうほど恋しいお前に会いたい(本人音読)

・藤原長兄の温かみが道兼のつかえをほぐす。置いてはゆかぬ。聡明で優しき夫妻である。しかし置いてはゆかぬ、は完全にフラグである。

・烏帽子は寝所でも外さないんだ。ちょんまげにするのは男性器の象徴なのかもなあ。ちょんまげにしていないときは帽子を被っていないから。

・「ふられた!」「おれも見たかった」道長様、いい男である。「邪魔しちゃった」お前もいい男だよ。最近見つかった弟、才気溢れる御仁であるあたり本当に兼家様の落とし子なのかもしれないなあ。