光る君へ4

「五節の舞姫

「光る君へ」はなんかに似てるなあと思ったら、そうだ朝ドラぽいんだ。ほんとにテレビ「小説」なんだこれ。とり立てて史実に忠実ではないというかそもそも史実がほとんど生き残っていない時代がテーマなので補完はやむなし、さらに本作では式部の人生を描きながら源氏物語を織り込んでいるのでこの仕上がりなんだろう。縦の糸は式部、横の糸は源氏である。

自分が学生のとき源氏物語道長プロパガンダと習ったのだけど(これ教員の私見入ってる?今はどうなんでしょう。なんて習うんでしょう)、あらためて考察してみれば源氏物語は投稿型創作なのかもしれない。概念としての源氏物語に増田のような機能があるんだ。はてなだから増田にしたけどなんでもいい、思考と情報と体験の匿名ハブである。王様の耳はロバの耳、とにかくリークですっきりしたい、秘めたるしかし会心の恋歌をみんなに知ってもらいたい、あの人との仲を匂わせたい…。これは別に物語に書いてくださっても良いのだけれど、あんなことこんなことがありましたのよ?と高貴な方々が嬉々として式部に耳打ちするのだ。そんな作り話の皮を被った実話なんじゃなかろうか。現実と創話がシンクロして境界線を失った物語なんだ。で、あれば。

式部はこの作品を通じて一世一代の匂わせをする。そう藤原道長である。私は今回の大河を見るまで、紫式部はラブとは程遠いお局様みたいなポジションなのかなと思っていたのだけど、いやーこれはアリ寄りのアリでしょう。お付き合いがあったと思います、ほんとうに。何も無かった女は匂わせなんかしない。彼女の匂わせを冷や汗垂らして道長がおさめていたのではないか。まさかまさか望月の歌も式部の入れ知恵ではあるまいな。

 

ドラマに戻って今回も演技力炸裂の倫子様。まひろだってそこまで醜女ではないのに、倫子様の前ではガサツさが際立ってしまう。これがお育ちってやつか。親の官位以上に超えられない壁。

昨今流行りの悪役令嬢テンプレートも本作を視聴するのに馴染みが良いだろう。空気読めないガッツ(またはガリ勉)だけが取り柄の身分の低き女が内裏学園に入学してしまうわけである。式部、完全におもしれー女ポジである。そして今をときめく高位貴族のみなさんに見初められてしまう。なんなら王族(皇族)である花山天皇あたりにも。私なんか目に留まりません、と言い切るまひろはまさにフラグを立てまくる主人公女である。

そうそう今回の花山天皇も麗しく手酷かったなあ。帽子が外れたところを公共放送で流していいんですか!?事故じゃないんですか!?もうひとつのシーンも最初何やってんのかな?からの目玉が飛び出すおしとねで世が世ならひと晩に放送事故が2回である。

 

つぎは「告白」

いよいよ身分の差が明らかになった二人の再再再会。倫子様のご興味がこわいですわね。藤原三兄弟のどなたに関心をお持ちなのか。