葬送のフリーレン(漫画)

何回も接触していたのに食わず嫌いだったフリーレン。アニメ化発表にともない1巻の最初のほうを読んだけど脱落。

金ローあと枠でアニメやってるから金ロー好きの自分は番宣でけっこうサブリミナルされて、じつに五度目の正直くらいで最近また読んで、ようやくハマった。1巻超えまでが長かった。あとは一気で、これは漫画界のカラマーゾフである。ドライブかかるまでが長いんだ。しかもその平凡な序章があとからじわじわ効いてくる。物語上、絶対に必要なオーソドックスなのである。

とはいえ手が伸びなかったり脱落組がいるのも理解できる。最初がやっぱ暗いんだよね。じとじと下辺にずっと溜まってる悲しみにつらくなっちゃう。人生前半の子たちにはすごく受けてたが。彼らは葬祭に縁遠いからね。(ここでの祭は神道葬の意で使ってる)

それに余計な解説なしの群像劇で最初っから登場人物多いし時間経過で容姿年齢も違うから、描き分け上手なのに「えっこれ誰さんでしたっけ?」とこんがらがっちゃう。読み返して合点して、過去のかけらを集めてピースが繋がるとやっと新旧パーティの顔と人生が立体化していく、そこまでくればもう虜である。

個人の嗜好としてガチンコファンタジーが苦手で、冒険者とかエルフとか好ましく思っていなかったんだけどそんなんじゃなかった。舞台装置はファンタジー冒険譚なんだけど、もはや奥の細道である。

死生観やら人間の定義やら哲学的な問いが道中に散りばめられていて、それらの宿題をさらっとなんの気なしに読者に放り投げてくる。常に無意識にトロッコ問題を解いているような感じ。それでいてちゃんとコメディなんだよなあ、なんだそれ。最高じゃん。