大蛇に嫁いだ娘

ときたろーーーー!!!!

 

タイトルと導入でセクシャルな漫画かなと思うじゃないですか。自分も横目で気にしつつけっこう長い間読んでいなかった。読者の間口がめちゃくちゃ狭い漫画なのである。しかしひとたび手にとり数巻読んだらもう虜である。ただのでかい蛇(本人談)を通して人間の業を深くえぐりだしてくる。この漫画がすごい。これを素でいうとは思わなかった。

とはいえ今まではなんだかんだまあふつうに泣き笑い感動して読み進めていた。しかしここへきてまさかの双子誕生っていう。この展開は天才的だ。

寺子屋で友だちをつくろうと頑張る時太郎。友だちなんてできるわけないだろ、って誰か言っておやりよ。と思うが、そんな現実誰も教えてくれない。性格でいったら片割れよりも時太郎の方がものすごく人間らしいの。彼は他者を求めて他者に寄り添いたいと思っている。会話に飢えている。人間は集団生活の鬼なんだ。孤独ではいられないんだ。それこそがハイブリットに生まれ、蛇の皮を被ってしまった少年時太郎のアイデンティティであり、この自己形成は大蛇さまとおおいに違う。

ただ姿形は別として、近づいてくるものに警戒し、構われたくない者を構いたくなるのも人間なのだよね。時太郎は戦略を間違えた。けれど友だちをつくろうとがんばる姿はいじらしいじゃないか。数話先の時太郎に友だちができているといいな。