八月納涼歌舞伎

8月が終わる前に。

八月納涼歌舞伎の1部を鑑賞。もうこれは大当たり。納涼歌舞伎は例年カジュアルな演目が多く、しかもひとつひとつが短めと初心者に優しい仕様で、お子さんや外国人客もちらほら見かけた。お昼は喜劇や現代アレンジがかかることが多いのだけど、今回はイヤホンガイド要らずのわかりやすさ。どっかんどっかん笑わせてくれる、そして最後は泣かせてくれる清水の次郎長さんよ。

それだけならまあ夏休みだしな〜という感じなのだけど、ふたつ目の演目はじつに伝統的で、この組み合わせは初心者セットとして近年最高なのではないか。伝統的踊りが少しばかり添えで入ってるパターンではなく人情伝統どちらもがっつり演じて2幕という贅沢仕様。

なお配役で海老がどこにもいないと思ったら襲名巡業らしく、しかし不在を感じさせない安定感よ。とにかく元気な中村(笑)も楽しいし、ヤクザ者の女房から御伽のおひいさままでなんのと連投の七之助がまことに素晴らしい。

 

裸道中】

勝五郎がアホの子でどうしようもないのだけどきっと親分は馬鹿な子ほど可愛いのさ。見栄を張って逆張りして、転落していく勝五郎にできた女房と次郎長一味がなんてことないと手を差し伸べてくれる。そしてクライマックス満を持しての人情シーンなのに、空気読めない一味の正直者の台詞、褌でさっそうと旅立つ皆々様と布団にくるまる奥方の珍風景にずっと笑ってしまった。

 

大江山酒呑童子

夏といえば怪奇もの。最強王でもおなじみ酒呑童子などというMr.Children、子ども社長みたいな名前の悪鬼が退治される物語。

酒ほんとに飲んでる?って聞きたくなるくらい旨そうに呑むんだよなあ笑 衣変化も多くて目にも愉快。

個人的には修験者に扮する討伐隊がとっとことっとこジグザグに山を登っていくシーンがとても好き。まるでやっこさんがドラクエしてるみたいな動き。いや逆にゲームのほうが歌舞伎やお能からアイデア拝借したんじゃない?と思うほど山道の風景浮かんだ。

あと登場したとき一瞬どっちが頼光?と思うほどに平井保昌に品があって幸四郎のプリンス感がダダ漏れだった。